
「秋の頭皮~に~♪ 照る山もみじ~♪ ……。」

「それを言うなら、秋の夕日でっせ。」

「なんだ。おやじか……。」
「あんたに言われたくないわ。」

「秋は、夕暮れが一番きれいですな…。」
「ええ。」

「秋の夕日に~♪ 照る~は~げお~やじ♪」
「ジェームスはん。よう来た。」

「秋の夕日に~♪ ワシ~ブル~タス♪」
「4人そろったみたいですね……。」

「それでは、タイトルコールといきますか…。」

秋は夕暮れ


「さて、今週のくたびレディオは、秋の特集です。
記念すべき第1回「七夕の由来」から、約1ヵ月半ぶりですね。」
「まさか、第2回目があるとは思いませんでしたよ。」
「ここから第3回、第4回と続けたいものです。みなさんよろしくお願いします。」

「みなさんは、秋の七草って、全部言えますか??」
「七福神なら、全部言えるんですけどね……。
恵比寿、大黒天、毘沙門天、弁才天、福禄寿、寿老人、布袋。」

「秋の七草とは、女郎花、尾花、桔梗、撫子、藤袴、葛、萩、じゃな。」
「さすが、ブルータスさん、秀才ぶりは今回も健在ですね。

「そうなんです。秋の七草は、この7つが正解です。では、なんでこの7つなんでしょーか??」

「山上憶良の詠んだ歌が、由来じゃな。」
「ブルータスさん、大正解です!!」

「これが、その山上憶良さんですね。このかたは、奈良時代を代表する歌人として広く知られていらっしゃいます。」
「たしかに、歴史の授業で習ったことがあるような。」

「では、みなさん、この山上憶良さんが、一体どんな方なのか、知ってらっしゃいますか??」
「それは、知りまへんなぁ。」
「ワシも詳しくは知らないのう。じつに興味深いのう……。」

「今日は山上憶良さんの生涯をまとめたドキュメンタリーVTRを、みなさんにぜひ、ご覧いただきたいと思います。」
「めちゃくちゃテンションあがるじゃないですか!! 楽しみですね。」
「それでは、VTRスタート!!」

「中継!?」

「やっぱりな……。実演ですね。」
山上憶良は万葉歌人であり、660年に生まれたとされている。
701年、第7次遣唐使の小録に任命される。じつは、この時は無位で、名は山於億良とある。漢語などの学識を買われ、遣唐使に任命されたといわれている。

702年には遣唐使の一行に加わり、42歳のとき唐に渡ったという。
唐では、中国の思想、とくに儒教、そして漢文学に親しんだのであった。そして、704年に日本に戻った。

帰国後、716年に、憶良は伯耆(鳥取県)の国司となった。このころの地方官としての経験は、晩年の歌に影響を与えたといわれる。名もなきものの立場に立って、世の中の貧しい人たちの苦しみを歌う彼の歌は、当時の他の歌人にはなかった。

今に残る山上憶良の歌は、ほとんどが50代以降に詠まれたものである。億良は人生の最晩年に、地方官として人民の生活に直に接し、その困窮ぶりに心を動かされた。地方官の立場にありながら、人民の生活の悲惨さを詠んだ歌を朝廷の高官に提出することによって、その惨状を訴えようとしている。


「さて。お次は、その山上憶良の作品を、いくつかご紹介させていただきたいと思います。」
「マドモアゼルはどこへ……。」

「こちらは、山上憶良先生の代表作品『貧窮問答歌(びんぐもんどうか)』より。えー、どういう意味の歌なのかと言いますと……。」

<意味>
『風交じりの雨が降る夜、雨交じりの雪が降る夜は、どうしようもなく寒いので、
塩をかじりながら糟湯酒(かすゆざけ)をすすって、
咳をしながら、鼻をぐずぐずさせて、少しばかりのヒゲを撫でる。私以上の能のある人はいないだろうと、うぬぼれてはいても、
寒くて仕方ないので、麻のふすまをひっかぶり、
あるだけの衣を着重ねしても寒い夜。
私よりも貧しい人の父母はお腹を空かせて凍えているだろうに、妻や子どもたちは泣いているだろうに。
こういう時、あなたはどんな風に暮らしているのですか。』
「リアルな表現の中に、貧者の生活ぶりが歌われています。この貧者はそれでも自尊心は持っている。それでも寒さには勝てない。そして、世の中には、こんな自分よりもっと貧しい人がいるのか、と思いながらずっとこらえる様を歌っています。」
「さらに、『貧窮問答歌』には、続きの歌があるんでございますな。」

「えー、こちらの歌はどういう意味かと言いますと……。」

<意味>
『天地は広いというけれど、自分には狭いものだ、
陽や月は明るいというけれど、自分を照らしてはくれないものだ、
みんなそうなんだろうか、自分だけがこのようなのだろうか、
人並みには私も汗水流しているのに。綿も入っていない海藻のようにボロボロになった衣を肩に引っかけて。
壊れかかって曲った家の中に、地べたにわらをひいて
父と母は枕の方に、妻や子どもは足の方に、
取り囲むようにして嘆き悲しむ
かまどには火が入ることはなく、
蒸し器にはクモの巣が張って、もうご飯を炊くことも忘れてしまった。
ぬえ鳥の様にうめき声をあげていると、
これ以上短くはならない物のはしっこを切るとでも言うように、
鞭(むち)を持った里長(さとおさ)が、寝床にまでやってきてわめき散らす。
こんなにもどうしようもないものなのか、世の中というものは……。』

「って感じ。」
「って感じ、って……軽いな。」
「ブルータスさん、いかがでしたか?」

「当時の人たちの、苦しい生活がとてもリアルに歌われておるのう。
重くて暗い歌じゃが、これを世に訴え、後世に残した山上憶良の行動は、大切なことだと思うのう。」

「そうですねぇ。自分の貧に耐えながらも、別の貧者を思う気持ちを、
山上憶良は歌い続けた……。」
「かっこいい。」

「番組もそろそろおわかれの時間のようです。みなさん、
いかがでしたでしょうか?? ぜひこれを機会に、貧富の格差について、考えてみてください。」

「それでは、また来週お会いいたしましょう。」

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