紙芝居 | 第一部 | 第二部 | 第三部 | 第四部
1.紙芝居

「ほら、はじまるで~♪ はじまるで~♪ マドモアゼル様の紙芝居や~。」
「わーい。わーい。」
「観覧料金1ガキ2万円ナリ~。」

「3D!!??」

今週のみらい研究所は、秋のはじまりということで、秋にまつわる日本昔話を、豪華キャストを招いてご紹介いたします。
今回のおはなしは、『風の神とこども』

「それでは、はじまりはじまり…。」
風の神とこども

村のお堂の前で、四人の子供が遊んでいました。

「おめぇ、邪魔すんなよ!!」

「やった、スターだ!!」

「ぼく、今無敵ー♪」

新太と広助、美夏は、6さいで、生まれた頃から何をするにも一緒でした。

新太の弟、じろ坊は、まだ小さな子でしたが、三人の後をちょこちょこ一生懸命ついてまわっていました。

お堂のそばにある湧水はとても冷たく、4人が持ってきたトマトを冷やしてありました。

お遊びも一段落した4人は、ちょっとひとやすみ。
残暑の日にはぴったり、とーってもおいしい、トマトをいただくことにしました。

その瞬間、南から風がゴウッと勢いよく吹き、どこからか声がしました。

???「そのトマト、俺の夏みかんと交換しないか?」

「ん?」

「なんか聞こえた?」

「はてな。」

見ると木の上に、長い着物を着た若い男がいました。

「・・・。」

「そのトマト、俺の夏みかんと交換してくれないか?」

「2回言った。」

「は~い。」
じろ坊が男にすっとトマトを差し出すと、男も夏みかんを差し出しました。

「あーむ。」
男はそういいながらトマトを4つとも食べてしまいました。男が交換してくれた夏みかんはこのあたりでは見慣れないものでした。新太達は一つだけ皮をむいて4人で分けて食べました。

「サンキュー。」

「トマトの汁だらけ・・・。」

「残りの三つは食べないのかい?」

「うん、母ちゃん達に持って帰るんだ。」
じろ坊が答えました。

「そうか、良い子だな。」

男はあたりを見まわしました。あたりには果樹などなく、栗や柿もまだなっていませんでした。

「どうだ? 栗や柿や梨がどっさりなっている所があるぞ。 取りに行くか?」
新太達は顔を見合わせたあと、そしてみんなで大きくうなずきました。

男は自分の着物の袖を子供たちに持たせました。

「しっかり、つかまってるんだぞ。」
男がそう言うとゴッと風が巻き、男と子供たちは空に舞い上がっていました。

「さぁいくぞ。」
男は四人を連れて、風に乗って飛んで行きました。山をいくつも越え、雲を追い抜いて、いつのまにか山の色は赤や黄色の秋の色になっていました。その中に男と四人はふわりと降りました。

あたりには栗や柿や梨の木が一面になっていました。

「奥に行けば、きのこや、栗の実がたくさんあるぞ。好きなだけ持って帰っていいぞ。」

「やったー。」

4人は、夢中になって木の実などを獲り、時間を忘れました。
しかし…、

「いない……。」
男はいつのまにか仕事に出かけてしまい、4人は山の中に残されてしまったのです。
日も暮れ、あたりは闇に包まれ始めていました……。

「マジンガー…。」

「わーん。帰りたいよー。怖いよ―。」

「あ、あの山のてっぺんに家があるよ。」

「あそこまで行こうか。」

「遠いよ……。大丈夫かなぁ。」

「大丈夫だよ。喋って歩いていれば、そのうち着くさ。」

そして。

「じ、地獄絵図じゃ!!!!!!」

「幼子が下敷きに!!!!!!」

「たすかったよ~。ありがとう!!」

「おじいさん、おばあさん、ありがとう!!」

「よかったよかった。ところで、なんでこんなところにおるんじゃい?」

「風に乗って連れてこられたんです。」

「あぁ。あんにゃの仕業じゃったのか。子どもと遊んで、仕事を忘れていたのに気がついたのじゃろう。しかたのないあんにゃじゃ。」

「おとにゃ。この子たちを里まで連れて帰ってやってくれやい。」

「ああ、いいよ。」
子供たちは若い男のそばに駆け寄ると、着物の袖をしっかり握りました。

「さぁ、帰ろう。」

若い男がそう言うとゴッと風が舞い、四人は空に舞い上がっていました。そしてビューンと雲を吹き飛ばして飛んでいきました。

しばらくすると4人は、もとのお堂の前にいました。

「じゃあな。」

「ありがとー。おにいさん。」

「あー。電池切れそうですー。」

「充電器持ってきておりますですー。」

「ナイスですー。いえろ氏。」

「あーあ。せっかくのたくさんのキノコおいてきちゃったなぁ……。母ちゃんたちにたくさん持って帰ってあげたかったのに……。」

「あ!」

「夏みかんだぁ! 栗だぁ! キノコも! 梨もある!
」

じろ坊がよろこぶと、
風が、そっと北へと帰って行きました……。
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