1.死のプロローグ | 2.タイムスリップ | 3.未知との遭遇 | 4.ホープレスたち | 5.物価の上昇 |
6.勝ち組と負け組 | 7.まだ、終わっていない......
1.死のプロローグ

「これから、みなさんにはこの
タイムマシンで、
50年後に行ってもらいます。」

「そして、やってもらうことはただ一つ・・・。」
「生き残ること――。」

「なんだ?ゲーム?おもしろそう。」

「フフフ・・・。油断していると、痛い目にあいますよ・・・。」

「ところで、ここは何の施設なのですか?」


「ここは、
みらい研究所――。
わたしたちの未来の生活を、あらゆる物事から研究しているのデス。」

「さて、ルール説明をしましょうか。まず、50年後に到着しますと、みなさんには1か月分の年金が支給されます。
その年金を資金に一か月生活するだけデス。」

「なんだ。つまんねぇ。」

「そう。じつに簡単なゲームです。こんな簡単な授業で、いえろさん、あなたは無事、大学を卒業できますよ。」

「単位は必要だしな。ま、やってやるか。」
「それでは、みなさん。50年後へ行ってください。グッドラ――ック!!」

どうやって?

「あ、とりあえずタイムマシンに乗ってください。
船長がご案内しますので。」

「やぁやぁあんちゃんたち。おおきに。このタイムマシンの
一日船長に就任した、
ゴッド交通の
やすしと申します。どうぞごひいきに。」

「
一日船長!?大丈夫なのかっちょ!?」

「このタイムマシンは、時速300kmまで加速できまんねん。時速300kmを越えると・・・、

タイムマシンはあたり一面、
緑色に包まれて、時空間ワープすんねん。
そんときは、たいそう揺れるさかいに、シートベルトの着用は必須とさせてもうてます。」

「ほんなら、まぁ出発しましょか。」

「では、みなさん、我々はこれより50年後の未来へ向かいます。そこで起こりうるすべての損失に関しては、我々は責任を負いかねます。ご了承ください。」

「ほな。動くでー。シートベルトしてやー。」

「なんだか・・・こわくなってきた・・・」

「もう、おそい
デス。」

ウィ―――――ン・・・
ボォ―――――ン!!
「燃えちゃった……。てへ。」
2.タイムスリップ

ゴゴゴゴゴ・・・ゴゴゴゴゴ・・・

ゴゴゴゴゴ・・・ゴゴゴゴゴ・・・

「あの・・・、シートベルトが緩いんですけど・・・。」

「堪忍してやー、にいちゃん。」
時速200km!!
「わぁぁぁぁーーーー!!」
「ドラゴンさん!! 熱い!! どうにかして!!」
「おい、じいさん、大丈夫か!!(笑)」
「・・・。」

「やすしさん!! 猪原のじいさん、やばす!!やばす!!」

「ちょい待ってやー。未来に着いたら、病院に走ったるさかい。」

「頼むわ―。あ、関西弁うつってしまった。ひっはっはっは!!」
一方そのころ・・・

「なーな・・・。はーち・・・。きゅーう・・・

――じゅう!!」
「もういいかーい?」

「・・・。」

「・・・。」

「ここかな?」

「ここかな?」

「ここだ!!」

「だいちゃん・・・、きっと帰っちゃったんだ・・・。はぁ・・・。」

「・・・。」

「・・・もういいよー。」

「はっ! この時差は!! ・・・もしかして、海外まで隠れに行ったのかな?」
「だいちゃーーん、ごめーーん。今から探しに行くねーー!!」

「急がなきゃ。」

「ん???」

「わ!!」

乗客一同
「ぎゃぁぁぁぁーーーー!!」
「お!!ワープゾーンに入ったで!!」

「いや、おっさん、ちがうて!!(笑)」
時速300km!!

「ワープするぞ―!!」
乗客一同
「ぎゃぁぁぁぁーーーー!!」
3.未知との遭遇

・・・。
あぁ・・・。韓国いきたい・・・。

・・・。
ここはどこ・・・? あたしは・・・
???「いえろ!! 大丈夫かでよ!?」
「誰だ!! 先に言うのは!!」

「着いたでよ!!
50年後の日本でよ。」

「マジで?」

「なんなんだよ!?こいつらは!?」

「オラも知らないでよ。さっきから、金をせがんでくるんでよ。」

「邪魔だ―ーっ!!」

「この野郎ー!!」

「勇ましい・・・。」

「お二人も無事のようですね。
タイムスリップは成功しました。
我々は今、50年後の日本にいます。」

「そんなことより、なんなんだよ、あの
バケモノどもは!?」

「やつらは、
ホープレス。お金が無くて生活のできない、
貧困層の人たちデス。
なぜ、こんなにも増えてしまったのでしょうかねぇ。」

「つまり、
ホームレス・・・、ではないの?(笑)」

「ふぅー・・・。走ったらつかれた・・・。」
「!!!!」
「くるりん!!!!」

「
ぐ、ぐりりんです・・・。たすけて、いえろ・・・。」

「では、みなさんに、年金一か月分を支給いたします。なお、現在のみなさんの職業を問わず、
今回のゲームでは、全員共通で厚生年金受給者とさせていただきます。
ご了承ください。
また、厚生年金の2010年度の
平均支給額は、
約16万5,000円ですので、みなさんには16万5,000円支給いたします。」

「さて、街はあちらですので、どうぞご自由に、一か月をお過ごしください。
一ヶ月後に、またこの場所に集合してください。」

「ぼく、参加?」

「うん。当たり前じゃん。」

「神々よ・・・。健闘を祈るのデス。」
4.ホープレスたち

「うわ。街にもいっぱいいるぜ。」

「うわ。こっち来たぞ。」
「同情スルナラ金ヲクレ。同情スルナラ金ヲクレ。」

「いや、してないけど・・・。」

「よろしければ、使ってください。」

「馬鹿。なにやってんだよ。」
「同情スルナラ金ヲクレ。同情スルナラ金ヲクレ。」

「う、うわーーーー!!」

「全部とられちゃった・・・。」

「恐ろしや・・・。」

「バフーンさん。早くもやってしまいましたね。バフーンさんは、これ以上
生活不可能なので、
ゲームオーバーデス。
脱落者の方は、大学の
負け組教室で一か月間、待機していただきます。それでは、バフーンさん行きましょう。」

「はぁ・・・。一か月も・・・。」

「みなさん、ホープレスたちに、たかられないように、お金は大切に扱いましょう。」

「あーはい、はい、はい、はい。」
5.物価の上昇
リアル年金ごっこ開始から、3時間・・・。

「ぐりりん、駄菓子屋がある。」

「そうだよ。さっき、だいちゃんと一緒にアメを買ったんだー。」

「アメをひとつ。」

「ふたつお願いします。」

(あれ?さっきは、
10円だったのになぁ・・・。)
一方、そのころ・・・。

「ひまだなぁ・・・。孤独だなぁ・・・。」
ガラガラ・・・。

「あ。みなさんもお金無くなったのですか??」

「居酒屋で食べ飲み放題したら、『一人、9万円ナリ』って言われたぜ・・・。」
「た・・・、高い・・・!!」

「なにもかも、高すぎるぜ・・・。金が一瞬で無くなっちまった・・・。」

「一体、どうなってるんだぴょん・・・。ここが、本当に日本なのかぴょん??」

「みなさん。ひまそうですぅーね。」

「
ラムナドンナ先生!!なぜ、ここに!?」

「それでは、ひまを持て余したみなさんに、
年金の未来について、ちょっとお話したいと思いますぅー。」
6.勝ち組と負け組

「わぁー。立派なおうちだね。」

「やっぱり、こんな時代にも、お金持ちはいるんだね。」

「問題ですぅ――。将来、
勝ち組になるか、
負け組になるか。その違いはなんですぅーか??」

「はっ!
プリマドンナ先生!! いつからいたの?」

「誰?」

「うーん。年金をちゃんと払っていたか、どうか?」

「ぶぅー。」

「え?なに?」

「正解は、ちゃんと
自分でお金を貯めていたか、どうかですぅー。」

「
年金だけでは、思うような生活はできない。と、みなさん実感されたはずですぅー。
だから、ちゃんと将来のことを考えて、自分でお金を貯めておくことが大切ですぅー。」

「
日本の人口は、50年後には現在の半分。
約5,600万人まで減ると言われています。この背景には、
少子化の問題がありますぅー。
少子化が進めば、生産人口は減り、
逆に医療の進歩による長寿化で、高齢者の数はどんどん増えることでしょう。
50年後には、
65歳以上の人口が日本全体の4分の1を占めるようになると言われていますぅー。」

「長生きできて、良かった、と言いたいところですぅーが、
年金をもらう高齢者ばかりが増えて、払っていく人がいない・・・。
という状況は、問題ですぅー。
国からしてみれば、年金の資本は集まらないのに、給付しなければならないお金だけ、膨れ上がる状態。」

「そう思うと、今のうちから、わたしたちが負担する保険料が少しずつ上がることも、 仕方ないのかもしれませんねぇ。」

「他にも問題はあります。
それは、みなさんも、リアル年金ごっこで実感していただけたのではないでしょうか?」

「うん。物が高くて、何も買えないぴょん・・・。」

「そうなんです。第22話、国民年金の授業でも伝えたかと思いますが、
どれだけ物価が高騰していっても、年金の支給額は上げてくれません。
残念ながら、今後、日本は
インフレ傾向をたどり、
物価は上がり続け、今の日本円の価値自体も下がっていくと言われています。」

「っていうか、そもそも
月16万円じゃ、
少ない気もするし・・・。たとえ今の物価だとしても、やっていけるかどうか
不安だぜ・・・。」

「そうだよね・・・。物価が上がって、円の価値が下がるなら、なおさら辛いですよね・・・。

「オレたちが受け取るころには、
16万円よりも、もっと少なくなってるかもしれないからな・・・。」

「つまり、みなさん。ご感想は?」
「年金じゃ全然足りなーい!」

「先生・・・。どうすればいいのかな?」

「一番、確かなのは、
自分でお金を貯めておくことですぅー。これからは
自助努力が大切ですぅー。」
「いくら貯めれば、いいのだぴょん?」

「月20万円で生活するとしてー、ざっと
4800万円あれば、80歳までは生活できますぅーかね。」

「ええーーっ!!そんなにーー!!」

「奥さんの分も用意するなら、夫婦で月38万円としてー、ざっと
9000万円ですぅーかね。」

「ええーーっ!!ぎょえーーー!!」

「どうなるニッポン。」

「いたのか!?」
7.まだ、終わっていない......

「それでは、みなさんに、理解いただけたということで、もうこのゲームは終了したいと思います。」

「おーい!置いていかないでよ―。」

「これであとは、2名ですね。」

「とりあえず、タイムマシンの中で2人の帰りを待ちましょうか。」
「!!!!!!!」

「さぁ。さっさと、タイムマシンを出せ!!」
どうした、いえろたち!!
また、来週も見てね♪
次回は、
3/11(金)更新だよ。
―――――――――――――――――――――――――――――――
作・イラスト: 福尾 雄太
⇒TOPへ