過労死水準の医療現場
今日の医療現場においては、医師・看護師の過重労働が極めて深刻な状況にあります。多くの医師・看護師が人員不足の中で過剰な業務を担当し、時間外労働、精神的ストレス、睡眠障害によって健康を害する事態が続いています。勤務医や過労死水準での労働を強いられ、看護師は身もココロもヘトヘトになり、最悪の事態として、突然死や自らの命を絶つことにもなっています。
また、過労死や精神障害等による自殺では、労災認定への請求が増加しているほか、民事訴訟へ発展しています。「医師は身を削って働くべきだ」という考え方もありますが、「医療機関こそストレスの生じやすい職場の代表」に間違いなく、メンタルヘルス対策が急務となっています。
1、勤務医の労働時間は過労死水準。
医者・看護師不足の中、彼らの長時間労働が当たり前となってきています。
厚生労働省が平成18年3月27日発表した「医師需給に係る医師の勤務状況調査」中間報告2で、その過酷な実態が明らかになり、診療科別の1週間の勤務時間 は、産婦人科の69.3時間を筆頭に、小児科68.4時間、外科66.1時間と長時間労働を強いられています。これは産婦人科、小児科、外科の医師不足が顕著なことの主因であることに間違いない状況です。
しかも、勤務時間は平均でも63.3時間で、1週間に40時間を超える労働時間を時間外労働時間とする厚生労働省の「過労死認定基準」(「発症前1か月間におおむね100時間以上」、「発症前2か月ないし6か月間におおむね80時間以上」)に照らし合わせてみると、勤務医は「過労死水準」を超えていることになります。同様に、日本医療労働組合連合会が実施した「医師の労働実態調査」(2007年4月24日発表)でも、1週間の労働時間の平均は、58.9時間ですが、65時間以上は33.9%と3人にひとりが「過労死水準」ということになり、統計に大差はありません。
同じく、「医師の労働実態調査」によると、「最長の連続した勤務時間」の平均は32.4時間でしたが、「36~41時間」の連続勤務時間が最も多く37.7%を占め、「30時間以上」は7割を超えているが実情です。
このほかにも、「前月の宿直日数」の記入者の平均は3.0回ですが、「4回以上」が31.8%とほぼ3人に1人がほぼ毎週しています。また、「日直の回数」の平均は1.0回、「前月の待機・拘束」の平均回数が10.6回と3日に1度し、「実際の呼び出し回数」の平均は4.2回となっています。加えて、日勤後の宿直勤務で、宿直明け後の勤務は73.9%の医師が「宿直明け後も勤務」しています。
また、健康状態のアンケートでは約半分の常勤医師が「健康不安・病気がち」の状態です。次に、「疲れの状態」も「疲労を感じる」医師は非常勤を除いて9割を超えています。
このような労働実態、疲労・健康状態のなかで、多くの医師は「職場をやめたい」と考えている実態が明らかになっています。
医師の健康状態等のアンケート結果
常 勤 |
非常勤 |
研修医 |
||
| 今の健康状態 | ①健康である | 51.3% | 59.3% | 61.5% |
| ②健康に不安 | 36.7% | 27.5% | 25.4% | |
| ③大変不安 | 5.9% | 4.4% | 5.4% | |
| ④病気がちでは健康とないえない | 2.5% | 4.4% | 3.1% | |
| 疲れの回復状態 | ①べつに疲れを感じない | 6.3% | 11.0% | 6.9% |
| ②疲れを感じるが、次の日までに回復する | 32.8% | 26.4% | 39.2% | |
| ③疲れが翌日に残ることが多い | 38.9% | 41.8% | 40.0% | |
| ④休日でも回復せず、いつも疲れている。 | 18.8% | 17.6% | 10.8% | |
| 「職場をやめたい」 と思うこと |
①いつもあった | 10.6% | 8.8% | 8.5% |
| ②しばしばあった | 16.5% | 16.5% | 9.2% | |
| ③時々あった | 26.9% | 24.2% | 15.4% | |
| ④まれにあった | 20.3% | 19.8% | 20.8% | |
| ⑤なかった | 22.7% | 27.5% | 40.8% | |
| 医師不足を感じているか | はい | 90.2% | 86.8% | 82.3% |
| いいえ | 5.0% | 8.8% | 13.1% | |
(出所)「医師の労働実態調査」(日本医療労働組合連合会)
