病院を取り巻く環境
病院経営は診療報酬の改定による収入の減少や慢性的な医師・看護師不足から経営不振の病院が続出しています。その一方で、医療の高度化・複雑化や患者意識の高まりから、医事紛争・医療過誤訴訟の増加と賠償金額の高騰という事態に直面しています。
いずれにしても、今や病院経営はこの悪循環に陥り、一段と病院経営の舵取りは難しくなってきました。それだけに、「医療安全をはじめとしたリスクマネジメント」の構築が最重要課題となります。
1. 病院数は漸減傾向続く
2. 厳しい病院経営、自治体病院の黒字は4分1にとどまる
3. 病院の倒産は今や珍しくない
4. 医師不足は産婦人科、小児科から外科へと広がる
5. 医事過誤訴訟が増加
6. 医療事故は刑事事件にも発展
7. 医療機関も情報開示に前向き
8. これからの病院経営に求められるもの
1、病院数は漸減傾向続く
病院を取り巻く環境は、年々厳しさを増しています。
診療報酬の改定(引き下げ)、医師・看護師不足の深刻化、医療の高度化・複雑化、患者の選択意識の高まり(大病院への集中)などが主因と考えられます。
病院数は1990年の10,096施設をピークに漸減傾向が続き、2009年6月末では8,749と実にピークから13%強の減少となっています。当然のことですが、病床数も減少傾向が続き、1997年3月末の166万3286床から2009年6月末で160万4443床となっています。
2006年以降は新規開業数も廃業数も減少し、既存病院の廃業あるいは診療所への転向のみが進んだ格好となっています。

一方、医科(一般)診療所数も2006年以降伸び悩んでいます。
病院勤務医の開業医志向が高まっているなら、診療所数それ自体も増加が続くはずですが、新規開業数、診療所数とも停滞しています。一般診療所の伸び率は年々下がり、病院勤務医の開業医志向は見られないとも言えます。
都道府県別の診療所数を平成10年(1998年)と平成20年(2008年)で比較してみると、青森県が平成10年:971→平成20年:939(▲3.3%)、山口県が平成10年:1,328→平成20年:1,296(▲2.4%)と2県のみが減少していますが、平成20年の1年間の診療所数の増減を調べると、減少は首都圏の千葉県、東京都を含む23都県にまで拡大してきています。(厚生労働省「医療施設動態調査」より)
実際に、勤務先別の医療施設従事医師数をみると、診療所は医師の絶対数こそ増加していますが、その割合は90年代の33%~36%の範囲で推移しています。しかも、診療所の医師は2006年時点で50~59歳:30.1%、60~69歳:15.2%、70歳以上が22.8%と、50歳以上が実に68.1%も占めます。こうした状況を勘案すると、早晩、診療所数・医師数ともピークアウトする可能性も否定できません。
→ 2. 厳しい病院経営、自治体病院の黒字は4分1にとどまる
