過労死水準の医療現場

 

3、医師の自殺率は高く、過労死が増える。

 こうした劣悪な労働実態から、医師の自殺率が高い。警察庁の「自殺の概要」では平成18年までの統計データで、平成17年、18年は医師の自殺率が全体の約1.3倍になっています。平成19年以降の発表では、「医師」ではなく、「医療・保健従事者」に変更になっていますが、その自殺者数は平成19年が298名、平成20年が322名と増加しています。
  自殺原因は健康問題、勤務問題が多く、とくに、全体の平均に比べると、勤務問題の割合が高くなっています。

医師の自殺数と自殺率
 
医師の自殺者数
日本人自殺率(10万人当たり)
合計
全体
医師
医師/全体
平成13年 70 64 6 24.4 27.1 1.11
平成14年 86 76 10 25.2 32.8 1.30
平成15年 79 71 8 27.0 29.8 1.10
平成16年 79 69 10 25.3 29.3 1.15
平成17年 90 79 11 25.5 32.8 1.29
平成18年 90 85 5 25.2 32.4 1.29

(出所)「自殺の概要」(警察庁生活安全局)

平成20年医療・保健従事者の自殺原因
 
人数
シェア
全体シェア
家庭問題 48 14.5% 12.3%
健康問題 139 41.9% 47.4%
経済・生活問題 43 13.0% 23.2%
勤務問題 67 20.2% 7.6%
男女問題 25 7.5% 3.5%
学校問題 0 0.0% 1.2%
その他 10 3.0% 4.8%
合計 332 100% 100.0%

(出所)「自殺の概要」(警察庁生活安全局)

 多くの医師や看護師が命を落としており、過労死・過労自殺が深刻な状況です。脳血管疾患及び虚血性心疾患等(「過労死」等事案)の労災認定請求件数は平成18年度にピークアウトしていますが、引き続き高水準で、精神障害等の労災認定請求件数も増加の一途です。これを「医療・福祉業種」をみても傾向は同じで、とくに精神障害等の労災認定請求件数は全体の伸びより高くなっています。

脳血管疾患及び虚血性疾患等(「過労死」等事業)の労災補償状況
 
脳・心臓疾患
うち死亡
請求件数
決定件数
うち支給
決定件数
認定率
請求件数
決定件数
うち支給
決定件数
認定率
平成14年度 819 785 317 40.4% 355 379 160 42.2%
平成15年度 742 708 314 44.4% 319 344 158 45.9%
平成16年度 816 669 294 43.9% 335 316 150 47.5%
平成17年度 869 749 330 44.1% 336 328 157 47.9%
平成18年度 938 818 355 43.4% 315 303 147 48.5%
平成19年度 931 856 392 45.8% 318 316 142 44.9%
平成20年度 889 797 377 47.3% 304 303 158 52.1%

(出所)厚生労働省
(注)決定件数は当該年度に請求されたものに限るものではなく、支給決定件数は、決定件数のうち業務上として認定した件数。

精神障害等労災補償状況
 
精神障害等
うち自殺(未遂を含む)
請求件数
決定件数
うち支給
決定件数
認定率
請求件数
決定件数
うち支給
決定件数
認定率
平成14年度 341 296 100 33.8% 112 124 43 34.7%
平成15年度 447 340 108 31.8% 122 113 40 35.4%
平成16年度 524 425 130 30.6% 121 135 45 33.3%
平成17年度 656 449 127 28.3% 147 106 42 39.6%
平成18年度 819 607 205 33.8% 176 156 66 42.3%
平成19年度 952 812 268 33.0% 164 178 81 45.5%
平成20年度 927 862 269 31.2% 148 161 66 41.0%

(出所)厚生労働省
(注)決定件数は当該年度に請求されたものに限るものではない。支給決定件数は、決定件数のうち業務上として認定した件数。

 

→ 4. 行政訴訟から民事訴訟へ

 

 

 

病院を取り巻く環境

1. 病院数は漸減傾向続く
2. 厳しい病院経営
3. 病院の倒産は今や珍しくない
4. 医師不足が広がる
5. 医事過誤訴訟が増加
6. 医療事故は刑事事件にも発展
7. 医療機関も情報開示に前向き
8. 病院経営に求められるもの

病院を取り巻くリスク

1. リスクの例
2. 病院が手配すべき保険
3. 保険を種類別に見る
4. 医療関連の損害賠償例

事業承継対策・相続

1. 出資持分評価額は高額になる
2. 高額な評価額から問題が発生
3. 医業承継のための事前準備
4. 医業承継対策は3つ

過労死水準の医療現場

1. 勤務医の労働時間は
2. 身も心も疲れている看護師
3. 過労死が増える。
4. 行政訴訟から民事訴訟へ
5. メンタルヘルス対策が急務