病院を取り巻く環境
6、医療事故は刑事事件にも発展
医療過誤訴訟は和解を含めても、氷山の一角です。
しかも、「損害賠償を目的とした民事訴訟では、真相究明ができない」「過失を罰してほしい」などの被害者の声もあり、医師や病院が刑事告訴されるケースが近年増えています。
医療事故の刑事訴訟は、1999年に横浜市大病院で2人の患者を取り違えて手術した事件と、都立広尾病院で誤って主婦に消毒液を点滴して死亡させ、ミスを隠そうとした事件などが契機となりました。
さらに、遺族の処罰感情などを背景に捜査機関が医師個人の責任を問うケースも急増しています。
代表例は、2002年に東京慈恵医科大付属青戸病院で、経験のない医師3人が難度の高い腹腔鏡下手術を行って患者を死亡させる事件です。
医療関連の警察への届出は2000年(平成12年)の厚生省指導に従い、医療関係者からの届出が急増していますが、被害関係者からの届出も減少しているわけではありません。また、警察から検察への送致件数は、99年の14件から2000年は107件に急増、2004年には188件に達しています。その後、減少に向っているとはいえ、刑事事件の聖域とされていた医療の世界も、今や聖域ではなくなってきています。
医事事故関係届出等件数と立件送致数の推移
| 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2002 | 2003 | 2004 | 2005 | 2006 | 2007 | 2008 | |
| 被害関係者等の届出等 | 7 | 9 | 13 | 33 | 17 | 42 | 39 | 43 | 30 | 21 | 43 | 32 |
| 医療関係者等の届出等 | 12 | 19 | 20 | 80 | 80 | 118 | 195 | 199 | 177 | 163 | 194 | 186 |
| その他 | 2 | 3 | 8 | 11 | 8 | 25 | 16 | 13 | 7 | 6 | 9 | 8 |
| 届出総数 | 21 | 31 | 41 | 124 | 105 | 185 | 250 | 255 | 214 | 190 | 246 | 226 |
| 立件送致数 | 11 | 21 | 24 | 83 | 65 | 88 | 112 | 97 | 60 | 24 | 10 | 4 |
| 年別立件送致数 | 3 | 9 | 10 | 24 | 51 | 58 | 68 | 91 | 91 | 98 | 92 | 79 |
| 立件総数 | 14 | 30 | 34 | 107 | 116 | 146 | 180 | 188 | 151 | 122 | 102 | 83 |
(出所)警察庁
(注1)立件送致数とは、過年度に届出され、立件が該当年になったもの。
(注2)年別立件送致数とは、該当年に届出され、その年に立件送致されたもの。
