病院を取り巻く環境

 

4、医師不足は産婦人科、小児科から外科へと広がる。

 医師不足と言われて久しい。厚生労働省の調査によると、平成18年までの10年で医師総数は約15%増の26万3,540人となっていますが、産婦人科(産科、婦人科を含む)、小児科は医師不足は深刻なうえ、ここ数年、“花形”ともいえる外科医の減少が目立っています。 
  外科医の中でも29歳以下の若手医師数をみると、16年の医師数は2,184人で、8年の調査に比べて1,000人以上も減少し、若手の「外科離れ」が目立っています。


 

<医師不足で診療休止に追い込まれた例>
 2008年7月7日、銚子市の岡野市長は、9月末での銚子市立総合病院の診療休止を表明しました。
 2006年度まで35人前後で推移した常勤医師数は、07年4月に22人まで急減しました。
研修先を自由に選べる新臨床研修制度の影響で、医局のスタッフが不足した日大が、派遣していた医師を引き揚げたからです。
 「医師1人で年間1億円稼ぐ」と言われるように、07年度の医業収益は前年度より9億1800万円も減りました。
 一方、医業収益に対する職員給与費の割合(人件費比率)は、適正とされる「55%以内」を上回り、05年度以降は70%を超えています。
 医者不足で患者が減り、経営難に陥いり、市の財政難から病院休止に追い込まれた典型的な例です。

 医師不足数は、厚生労働省が2006年に1.2万人(「診療」に週40時間必要だとし、その必要医師数と現状の医師数(2004年)の差)としています。
 前提条件が異なるため、単純比較はできないが、今年8月に日本経済研究センターによる医師不足数は、これまでの予測数値としては一番多くなっています。
 医師不足を解消するために、今後10年かけて医学部の定員数を現在の1.5倍に拡大するとの政府方針に沿い、将来の医師数を推計しました。試算は現在でも全国で7.2万人の医師不足が生じていると指摘し、医学部定員を増やしても医師として仕事をするには8年かかるため、医師の不足数はピーク時の15年に7.8万人に達すると予測しています。
 いずれにしても、病院経営において医師の確保は喫緊の課題であり、なかなか解決できない問題となっています。

医師不足数
試算機関
不足数
定義
厚生労働省(2006年
1.2万人
「診療」に週40時間必要だとし、その必要医師数と現状の医師数(2004年)の差としている。
小笠原・伊藤・本郷・
金村・木村・溝口
(2008年)
5.7万人
医療法が定める医師数の基準から医師1人が1日に診察できる外来患者を6.7人とし、現状の医師数との差としている(指導や当直医師数も含む)。
日本経済研究センター
(2009年)
7.2万人
患者1000人当たり医師数が一番多い京都府の水準にすべての都道府県が達するための人数。

(出所)「都道府県別医師不足の長期見通し」(社団法人日本経済研究所)

医師不足数、不足率の推移
 
2006年
2016年
2025年
2030年
2035年
医師不足数(万人)
7.2
7.7
6.5
4.9
207
不 足 率( % )
30.7
29.5
22.6
16.2
8.4

(出所)日本経済研究所

5. 医事過誤訴訟が増加

 

病院を取り巻く環境

1. 病院数は漸減傾向続く
2. 厳しい病院経営
3. 病院の倒産は今や珍しくない
4. 医師不足が広がる
5. 医事過誤訴訟が増加
6. 医療事故は刑事事件にも発展
7. 医療機関も情報開示に前向き
8. 病院経営に求められるもの

病院を取り巻くリスク

1. リスクの例
2. 病院が手配すべき保険
3. 保険を種類別に見る
4. 医療関連の損害賠償例

事業承継対策・相続

1. 出資持分評価額は高額になる
2. 高額な評価額から問題が発生
3. 医業承継のための事前準備
4. 医業承継対策は3つ

過労死水準の医療現場

1. 勤務医の労働時間は
2. 身も心も疲れている看護師
3. 過労死が増える。
4. 行政訴訟から民事訴訟へ
5. メンタルヘルス対策が急務